日本のシニア世代の就業について | 埼玉しごとセンター

日本のシニア世代の就業について

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 私自身もシニア世代である。50歳代半ばの時に、30年くらい正社員として勤めた会社を早期退職し、それから数回の転職をしている。若い頃は勤務していた会社も好業績で、60歳で定年退職金をもらって定年退職し、年金をもらって、余生をのんびり暮らすイメージでいた。公的年金が65歳以降から支給が変更になると聞いた時は、私がその年齢になる頃には65歳まで働ける会社になっているのだろうと楽観していた。ところが、社はリーマンショックを契機に業績が悪化し、リストラのプロという社長に代わり、早期退職者募集となった。私は再就職支援制度を利用し転職活動をしたが正社員の求人は少なく、仕事内容を優先し契約期間を定めた非正規雇用の職に就くことになった。似た様な経験をした方も多いのではないだろうか。公的年金の支給年齢があがっているにも関わらず、高年齢者の雇用環境の整備は進んでいないと実感している。特に60歳から65歳までをどう生きたら良いのか、我々の世代は前例やロールモデルが非常に少ない中で考えていかねばならない。

 
 ところで、諸外国はどうなのだろうか。諸外国に「終身雇用」という概念はないらしい。そもそも「終身雇用」というのは日本人が考えたものではない。日本の企業の就業規則を見ても「終身雇用します」とは書かれていない。「終身雇用」という言葉は、1958年に、アメリカの経営学者のジェイムズ・アベグレン氏が、日本の戦後の高度成長の要因を研究していて、その一つに「長期雇用によるものではないか」と提唱したことに始まるそうだ。アメリカでは、日本における職務や期間を定めた雇用つまり契約社員が普通である。または、入社時にいつ解雇されても良いという旨の契約書にサインを求められ、ピンク色で「ファイヤー」と書かれた紙が来たら終了である。日本でも外資系企業ではよく聞くことである。しかし、そういう国では、他のビジネスマンも同様に解雇されるので欠員の募集が多数あり転職が盛んである。それゆえなのか起業する人も多い。

 

 また、シニア世代の再就職を難しくしている要因について思うことがある。日本では年長者を敬うという教えが強い。年功序列という概念の会社もまだ多い。若い社員たちは年長者の新入社員をどの様に感じているのだろうか。年長者の方は年下の上司や先輩からの指示や教示に従えるだろうか。私自身も転職先で年下の上司や先輩との関係性には困惑したことが多々ある。

 

 この様な状況のなか自身でできることは、起業するか、雇用される能力(エンプロイアビリティ)を高めるかだと考えている。もし貴方が迷いの中にいる様だったら、今一度、自身の強み・弱み、できる事、やりたい事を見つめ直してみてはいかがだろうか。

ミドル・シニアコーナー  キャリアコンサルタントH.H

最終更新日:2024年08月16日