人生100年時代に求められるものは? | 埼玉しごとセンター

人生100年時代に求められるものは?

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ロンドンビジネススクールのリンダ・グラットン教授は共著の「ライフシフト」で次のように提案しています。「デジタル技術と医療技術の進歩でヒトは80歳まで働くようになりそれを前提に人生を幾つかのステージに分け学びと転職を繰り返すべき」。これを受けて多摩大学大学院の徳岡晃一郎教授も「これからは自分を“事業主”と考え自分のビジョン作り、棚卸し計画策定に責任を持つ時代だ」と述べています。

日本政府も現在企業に対して①定年制の廃止②定年年齢を65歳にした上で再雇用を70歳までに延長③退職した従業員の独立を支援する、この中からいずれかを選び制度化することを求めています。これにより今まで65歳まで働いている人は70歳まで働ける条件が整いつつあります。これを実践している企業もすでに存在します。健康器具を制作しているタニタは現職従業員が特殊技能を持っている場合その技能を生かし“個人事業主”として対価を払う制度があります。また電通は業務委託契約を結び個人のスキルを発揮してもらえる子会社をつくりました。従業員の7割は50歳以上です。一方定年の延長や廃止も進んでいます。清水建設は2021年4月から定年を65歳までに延長しました。また家電のノジマは年齢制限を廃止しました。対象は3千人の全従業員です。建設機械のクボタは2022年4月から定年を65歳に引き上げます。また味の素は2021年4月から再雇用年齢を70歳に引き上げました。

終身雇用の時代は“身分を保証する”時代でしたがこれからは“機会を与える”時代に変化します。いまはまさに変革の転換期です。ではそれに対処するには我々はどうしたら良いのでしょうか?一つだけはっきりしている事があります。それは他人に負けない自分の特技を持つことです。

特技の代表的なのは資格です。でも資格を保有するだけでは不十分です。資格プラス経験が求められます。従って資格取得は遅くて40代前半が限度です。なぜならその年齢なら未経験でも「これから経験をつみます」という言い訳がなりたちます。

では資格がなく50代に達したらどうしたらよいでしょうか?今までやってきた職務の深堀を売りにするのです。例えば人事経験者であれば就業規則作成や労働協約の作成で如何に成果をあげたか又は採用経験などを記録に留めておくことです。営業職であれば新規個客開拓数や売り上げ成績なども立派な業績になります。60歳代になると仕事の成果に加え人柄が大事になります。新規職場では大半が年下、または上司が年下になります。人柄を発揮して頼りになる人になることです。「以前の職場ではこうやって上手くやった。だからこうしたほうが良い」などとは口が裂けてもいってはなりません。会社、会社で同じ仕事でもやり方が違うからです。但し教えを請われた場合は成功事例を伝えるのは仕事の深掘りにつながります。人柄を売りにすれば前職での経験が請われます。つまり慕われ、請われる人物になることです。但し人柄はにじみ出てくる物であっていきなり出来ることで無いことに留意すべきです。

日本の高齢化率は29.1%と先進国で突出しています。その上65歳以上の労働参加率が25.3%(19年)と米国(20.2%),ドイツ(7.8%)より高く、内閣府調査では65歳を超えても働きたい人が7割に達します(日経新聞22年1月7日)。働く意欲は眠っています。これを払拭するのは皆さん個々のスキルと人柄のアップです。「自ら職を獲得するのだ」という意識改革が求められています。

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梅津 惇男

最終更新日:2022年01月18日