今回は、就職相談やセミナーで伝えている就職活動している方に知っておいてほしい、法律上の決まりを書いていきたいと思います。
労働基準法を中心にして多くの労働法がありますが、そのうち就業前に知っておいてほしいことをお伝えします。
最初に、求人を探して色々なメディアの求人情報を見ると思いますが、「職業安定法」で最低限明示しなければならない労働条件等という決まりがあります。
それは、①業務内容 ②契約期間 ③試用期間 ④就業場所 ⑤就業時間 ⑥休憩時間 ⑦休日 ⑧時間外労働 ⑨賃金 ⑩加入保険 ⑪募集者の氏名又は名称
ハローワークの求人票はこれらの項目はすべて掲載されていますが、それ以外の求人の中には記載スペースの制限からすべてが記載されていないものもあります。その場合、求人事業者は別途明示する必要があるそうです。
したがって、知りたい項目が明示されていない求人には事業者に対して問い合わせをして確認ができます。遠慮せず確認してみてください。
また、当初明示した労働条件が変更される場合は、変更内容について明示しなければならないとのことです。
このように、求人情報の労働条件の提示には決まりがありますが、変更した場合、速やかに伝えてくれる事業者ばかりではありません。
気になるようなら面接時に変更の有無を確認してみることも必要でしょう。
さて、求人情報の明示と変更の速やかな連絡のことを書きましたが、ここで気を付けてもらいたいことは求人票の条件と労働契約書の条件がイコールでなければいけないとの決まりはありません。
そこで、「労働基準法第15条」には、雇用契約を結ぶ際には、労働契約を結ぶときには、使用者が労働者に労働条件を明示することが必要です。 さらに、特に重要な次の項目については、口約束だけではなく、きちんと書面を交付する必要がありますとなっているので以下の項目を書面での提示を求めてください。これは、結構重要なことです。
- 契約はいつまでか(労働契約の期間に関すること)
- 期間の定めがある契約の更新についての決まり(更新があるかどうか、更新する場合の判断のしかたなど)
- どこでどんな仕事をするのか(仕事をする場所、仕事の内容)
- 仕事の時間や休みはどうなっているのか(仕事の始めと終わりの時刻、残業の有無、休憩時間、休日・休暇、就業時転換〔交替制〕勤務のローテーションなど)
- 賃金をどのように支払うのか(賃金の決定、計算と支払いの方法、締切りと支払いの時期)
- 辞めるときのきまり(退職に関すること(解雇の事由を含む))
それ以外の項目については労働者と使用者はできる限り書面で確認する必要があると定められています(労働契約法第4条第2項)。
今までの、就職相談において慌てて雇用契約書の確認をしなった場合、あまり良い結果になっていないケースが多いように思われます。後悔しないためにもしっかりと雇用契約条件を確認して就職していただきたいと思います。今回は、求人情報と、雇用契約について、労働法上の決まりを書きましたが、次の機会には別の観点での労働法についてお知らせしたいと思います。
ミドル・シニアコーナー
キャリアコンサルタント:本木 康友
最終更新日:2021年08月04日