他者比較と自己評価 | 埼玉しごとセンター
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センターで相談を受けていると「ほかの人ができているのに自分はできない。」、「ほかの人と比べちゃいけないってわかっているけど比べてしまう。」という話を時々聞くことがあります。今回は、その他者比較についてお伝えしようと思います。

(1)自己評価のおさらい
さて、他者比較の前にまず自己評価についてですが、こちらは昨年度のコラムで記載していますが、重要なポイントを伝えます。
基準の0点は、「経験が何もない」です。就職する前でもいいですし、今の業界に入る前でもいいですが、過去の自分になります。
次は目指したい100点です。こちらは「こうなっていなきゃいけない」、「こうなりたい」という目標や理想など未来を指します。
この0点から100点の間で、今の自分は何点なんだろうか。と過去や未来の自分と比較することが自己評価です。

(2)他者比較について
■他者比較が起きる原因
皆様の話を聞いていると、多くの場合で、仕事に悩み、失敗が続く中で、自分はダメなんだと自信を喪失しているときに起きています。また頑張っていても、他者から評価されず報われないと感じてしまうときにも起きます。

■他者比較の特徴
 ・自分よりできている誰かと比べている
 ・結果の比較をしている
 ・違う条件があるのに似ている相手と比較する
この3つが典型的な特徴ですが、どれか一つだけでも自分が苦しくなるような評価になっています。この中で3つ目があまり気づかれない特徴です。
よくあるのは「経験年数は違うけど年代が一緒の相手と比較する」、「職種やその後の経緯も違うけれど、大学の同期と比較する」などです。ですが、本来、何かを比較するためには同じ条件(たとえば同じ入社日、同じ業務機会、同じ上司の元など)で比べなければ、本当に差があるかどうかがわかりません。
求める理想や期待があることで、つい「自分もそうなっていたらよかったのに」と結果だけを比較してしまうことがこの社会では少なくありませんが、それだと余計に自信を喪失してしまいます。そのため他者比較はしないほうがいいと言われるのです。

■他者比較の有効活用
それでも誰かと比べてしまうと思ったら、こんな考え方はいかがでしょうか。
他者は比較対象ではなく、目標対象にする
「現在」の自分と比べることでうまくいかないので、「未来」の自分にしましょう。すると現在の自分ができていなくても、いずれあの人のようにうまくできるようになればいいという考え方に切り替わります。

人や結果の比較ではなく、方法や手段の比較をする
ある事柄が、うまくいくかどうかは、確かに人の違いもあるのですが、多くの場合、方法や手段が合っていないことが原因です。ですから、相手が取っている方法や手段をよく見て、それを真似してみてください。方法や手段には作業的なスキルもありますが、対人であれば表情や言葉遣いなども含まれます。それらを観察し、なぜそのやり方がよいのかもわかると自分なりのやり方も見つかるでしょう。

4.他者比較は前向きな気持ちが隠れている
そもそも他者比較は自分もできるようになりたいという気持ちがあります。ですから他者比較はマイナスな考えではなく、前向きな考えから来ているんだと受け止めるのはどうでしょうか。そしてそのできる他者のように自分もできるようになり、いつかは超えていくと未来を向き、今自分ができることを続けていけるとよいでしょう。

臨床心理士(公認心理師):YT

最終更新日:2023年09月28日