
セミナーや相談でお伝えしている「選ばれる工夫」があります。「謙虚さ」「欠点」「感謝」「独自性」「言葉」「未来志向」です。
人間の「強み」の中で、一つだけ自己アピールできないものがあります。「謙虚さ」です。「私は謙虚です」と言った瞬間、謙虚ではなくなります。ではアピールできないのか、というとそうではありません。「できます」「○○力があります」とは書かず、「心がけています」「培ってきました」「大切にしています」と控えた表現にすると、謙虚な印象を与えることができます。
「欠点」を隠そうとするのは実に印象が悪いことは知っておいてください。短所は数文字、改善努力が数行にわたり、まるで長所のように書いている応募書類を見ます。採用側からすると、 「失敗を認めない人」「言い訳が多い」と見られるリスクがあります。最悪は「ミスをごまかし、隠す人」か、その予備軍と見られます。欠点があるからこそ、人間です。改善のためにあれこれ努力しています、と長々と書くと、読む側は「潔くない」「弁解がましい」と思います。「インターネットのサイトでは改善努力を必ず書け、とありました」と反論する方もいます。ネット情報は誰が、何の根拠に基づいて書いているかを確かめてください。そのサイトが伝えたいのも、「仕事で致命的なミスにならないために、どういう対策を取っているかが大事、という意味だろうと思います。
「感謝」は応募書類や面接で直接書いたり、話したりすることはあまりないとは思いますが、ちょっと付け加えると効果があります。なぜでしょう? 仕事でもまれ、磨かれ、成果を出している人の共通点として「お得意様のおかげ」「上司がよくしてくれた」「同僚、後輩が支えてくれた」「タイミングがよかった」、そして「家族の協力があったからこそ」と周囲への感謝を口にします。「オレ様の実力からすれば、軽い、軽い」という方もいないではありませんが、私と私の周囲の者たちの経験では、かなりの少数派です。結果を出す人は大体、「感謝」を口にします。応募書類を見たり、面接員を務めたりする人は事業所を代表して採用に関わる人ですから、当然、「結果を出している人」です。「感謝」の言葉には反応すると期待できると私は思っています。
「独自性」は人によっては難しいかもしれません。一つの手法として、よく知られた言葉を少しひねります。「出る杭は打たれるので、出過ぎた杭を目指します」と言った若者がいます。「大海を知った井の中の蛙です」と言ったのは、地方の大学生。「座右の銘は『初心は忘れた』」は有名劇作家の言葉です。
「言葉」はどういう言葉を選び、どういう言葉は使わないか、です。言葉にはその人の文章力ではなくて、人格や品格が現れます。ある有名大学教授は「格上の言葉」と表現します。分かりやすい文章を書く人は、私の知る限り、「こういう言葉は使わない」と心に決めている言葉がいくつかあります。私でさえ30近くあります。人それぞれの好みでもありますが、応募書類の言葉からも、どういう人なのかが推測できます。ありきたりの言葉ばかり使って安易に考えずに慎重に選んでください。
最後は「未来志向」。採用面接で学生が苦手な質問の一つが「10年後はどうなっていたいですか?」です。将来のキャリアビジョンを問われているわけですが、なかなか想像できないようです。将来の目標や理想、「なりたい自分」があれば、仕事で多少の失敗にもめげないし、厳しい局面にあってもくじけずに頑張れる、という考えもあるでしょう。
どうでしょうか? 何らかのヒントにしていただければ、うれしいと思います。
若者コーナーキャリアコンサルタント T.N
最終更新日:2025年03月14日