「あいまい語」を使っていませんか? | 埼玉しごとセンター

「あいまい語」を使っていませんか?

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 埼玉しごとセンターは毎日のように何らかのセミナーを開いて、皆さんの仕事探しの参考にしていただいています。1月と2月には私も「応募書類」について話します。平日の日中ですから、ご参加いただけない方も多いので、要点を本欄に書かせてください。

 お伝えしたいのは、「あいまい語では採用側には伝わりませんよ」ということです。一生懸命アピールしているつもりでも、読み手からすると、「何となく分かるが、よく分からない」言葉を、私は「あいまい語」と呼んでいます。多くはよく使われるので、伝わったと勘違いする抽象的な言葉です。
「私は高いコミュニケーション能力に自信があります。明るい性格で、初対面の方ともすぐに打ち解けて、その場の空気を読んで、適切に振る舞うことができます。この能力を生かして、貴社の営業職として事業に貢献できると思い、志望しました」
知人や友人なら納得するかもしれませんが、会ったこともない読み手からすると、どんな「コミュニケーション能力」か、さっぱりわかりません。聞き上手なのか、話が面白いのか、人と接する時にどのようなことに気をつけている人なのか、どんな工夫や配慮をする人なのかが何も書かれていないからです。「明るい性格」は人と接する時に役立つかもしれませんが、時や状況、相手にもよります。「その場の空気を読む」ために、どんなことに気を配っているのでしょうか? どんな言葉を使い、どんな言葉は使わないようにしているのでしょうか? 「適切に振る舞う」の「適切」も主観ですから、意地悪く考えれば、「場違い」な行動に本人だけが気づいていない可能性だってあり得ます。そうした仲間うちの「ノリの良さ」がプロの営業職として通用するでしょうか? 

 では、どうすればいいでしょう。「コミュニケーション」という言葉で伝えたい中身を、人と接する時に心がけている行動や態度、姿勢、工夫を示すのです。「人と話す時は、①話を途中で遮らず、最後まで聞く②視線を合わせて、あいづちを打ち、うなずく③自分の考えや価値観だけが正しいとは思わない④共感できるところは率直に伝える⑤異なる意見も頭ごなしに否定せず、その意見の根拠を考える」。円滑な人間関係を築くために日頃から気をつけていることを書いてみてはどうですか。つまり「コミュニケーション能力」を「要素に分ける」わけです。優秀な店員さんに聞くと、お客様に対応する時に大事にしていること、実行している「私なりのやり方」を何点か明かしてくれるものです。

 抽象的な言葉だけでは「あいまい語」になって、採用側には伝わらないリスクがあります。「寄り添う」って、どういう姿勢ですか? 善意の行動でも、相手からすると「お節介」「ありがた迷惑」となることも実際にはあります。「寄り添う」をあなたなりの言葉で補ってください。「相手の状況を考え、心情をくみ取って、私に何ができるかを考えて行動する」といった言葉を足せば、ぐっと伝わりやすくなります。「信頼関係の構築」のために、努力し、実行したことは、どんなことですか? 「丁寧な顧客対応」のために続けてきた工夫や習慣は? 「課題発見」のために、注意していることはどんなことですか? 

 応募書類は結論から書くことが原則ですから、どうしても抽象的な言葉を使いがちです。「何となく」分かったようで、分からない「あいまい語」になるのを避けるには、実際に取ってきた行動や話した言葉、示した態度や姿勢を例として挙げて、「要素に分ける」か、短い言葉を補うと、読み手に親切な表現になります。試してみてください。

若者コーナーコンサルタント T.N

最終更新日:2025年01月17日