男女を問わず幅広い年齢の方に常に人気かある職種(職業)は、内勤事務です。ただ埼玉県の4月の有効求人倍率を職種別でみると、事務的職業(学卒除きパートタイム含む常用)は0.27倍。求職者4人に1件と狭き門です。事務的職業の求人数は決して少なくはないのですが、希望者が非常に多く、競争が激しいのです。
また、事務職そのものがAI(人工知能)などのIT(情報技術)に取って代わられて余剰人員になり、24年には156万人が余剰になるという試算もあります。(三菱総合研究所)
このような状況の下で、どのようにすれば事務職としてサバイバルできるのか考えてみましょう。
対策1 事務職に求められるものは何か…その存在意義を今一度見直す
事務職とはどんな仕事なのか皆さんに伺うと、「デスクワークでパソコン操作」という回答が多く、パソコンで何をしているか伺うと「データ入力」という回答になります。これだけだと事務職=単純な定型作業となってしまい、正確性やスピードにおいて人間より優れているRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)等に、早晩、代替されることになります。RPAはロボットといっても実際はソフトウェアで、事務作業の8割を自動化すると言われており、日本では金融や製造の大手企業から利用が進んでいます。
ここで重要なことは、RPA導入の際キーパーソンになるのは人間だということ。ロボットをどのように活用するか=ロボットと人間の共存、これは人間が考え決めることです。そしてRPAにより生まれた時間は、「アイデア作り」や「営業」といった人間にしかできないこと、「考え創造する」業務に振り向けられるようになります。
人間にしかできない仕事は何なのか。「日常の定型業務を進める中で課題を見つけて改善する」。この業務推進力こそが現代の事務職に求められています。「事務職」が廃止され、新たに「業務職」が誕生した企業もあります。仕事内容は時代と共に変化するので、私たちも考え方を変えなければなりません。
対策2 自分のスキルを棚卸する
まずは仕事経験を「棚卸」しましょう。今もっている知識や能力を、言葉で説明できるようにするのです。仕事に必要なスキルは3つあります。それぞれの分野であなたの強みを確認しましょう。
① 専門知識・資格・技術(特定分野の職務遂行に必須)
例:簿記、フォークリフト、保育士、栄養士、CAD、理学療法士 等
② ポータブルスキル(どの業界や職種でも共通に求められスキル)
例:パソコンスキル、課題発見力・解決力、計画性、実行力、ストレスマネジメント、コミュニケーションスキル、リーダーシップ、傾聴力、交渉力 等
③ ヒューマンスキル(人間性や対人力)
例:責任感、謙虚さ、協調性、気持ちの安定、適切な自己表現力 等
対策3 リスキリング(学び直し)を継続する
あなたの今の知識や能力を生かして、一歩ずつ小刻みなリスキリングを継続しましょう。
ITと聞くだけでハードルが高いと感じる人も多いでしょうが、今の仕事を継続しながら、IT関連のセミナーや講座を利用する等、一歩踏みだす勇気が新たなキャリアを切り開きます。IT領域の仕事も難易度は様々です。そもそもIT業界自体が成長途上なので、まずは身を置いてみることも大切です。会社の成長に合わせて能力を磨いていけば、活躍領域は自然と広がります。
もちろんITスキルを身につけるだけがリスキリングではありません。経理事務、人事事務、総務事務、営業事務、貿易事務、医療事務、学校事務等、事務職の種類は沢山あります。さまざまな分野の事務職として活躍し続けるために、資格を取って付加価値を上げることもリスキリングです。自分が興味のある分野・得意な分野で必要とされる専門的な資格(簿記、FP、宅建、キャリアカウンセラー、社会保険労務士 等)を取得すれば、仕事のレベルを上げていくことが可能になります。
ミドル・シニアコーナー担当 YT
最終更新日:2023年11月17日