求職活動をしている皆さんが、企業は採用選考時にどのような決まりの基で判断しているのか疑問に思っている方が多いと思います。そこで今回は、厚生労働省のホームページにある厚生労働省が企業に対して提示している採用・選考時のルールについてお知らせしたいと思います。
採用選考の基本的な考え方
ア 採用選考に当たっては
・応募者の基本的人権を尊重すること
・応募者の適性・能力に基づいて行うこと
の2点を基本的な考え方として実施することが大切です。
イ 公正な採用選考を行う基本は
・応募者に広く門戸を開くこと
言いかえれば、雇用条件・採用基準に合った全ての人が応募できる原則を確立すること
・応募者の適性・能力に基づいて行うこと
つまり、応募者のもつ適性・能力が求人職種の職務を遂行できるかどうかを基準として採用選考を行うことです。就職の機会均等とは、誰でも自由に自分の適性・能力に応じて職業を選べることですが、このためには、雇用する側が公正な採用選考を行うことが必要です。
公正な採用選考を行うためには・・・・
ア 公正な採用選考を行うことは、家族状況や生活環境といった、応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しないということです。
そのため、応募者の適性・能力に関係のない事柄について、応募用紙に記入させたり、面接で質問することなどによって把握しないようにすることが重要です。これらの事項は採用基準としないつもりでも、把握すれば結果としてどうしても採否決定に影響を与えることになってしまい、就職差別につながるおそれがあります。
イ なお、個人情報保護の観点からも、職業安定法第5条の4及び平成11年告示第141号 により、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報などの収集は原則として認められません。(注:これらの法令中の「公共職業安定所等」「職業紹介事業者等」には、「労働者の募集を行う者」も含まれます。)
ウ 『応募用紙』については、新規中卒者は「職業相談票(乙)」、新規高卒者は「全国高等学校統一応募書類 (全国高等学校統一応募書類の記入上の留意事項)」を用いることとされています。
また、新規大卒者は「新規大学等卒業予定者用標準的事項の参考例 (又は、 「厚生労働省履歴書様式例、 その他の求職者は「厚生労働省履歴書様式例」を用いるようにし、事業主が独自に応募用紙やエントリーシート(インターネット上の応募入力画面)の項目・様式を設定する場合は、適性と能力に関係のない事項を含めないよう留意しましょう。
エ 『面接』を行う場合についても、職務遂行のために必要となる適性・能力を評価する観点から、あらかじめ質問項目や評価基準を決めておき、適性と能力に関係のない事項を尋ねないよう留意しましょう。
また、応募者の基本的人権を尊重する姿勢、応募者の潜在的な可能性を見いだす姿勢で臨み、できるだけ客観的かつ公平な評価を行うようにしましょう。
オ 障害者、難病のある方、LGBT等性的マイノリティの方(性的指向及び性自認に基づく差別)など特定の人を排除しないことが必要です。特定の人を排除してしまうというのは、そこに予断と偏見が大きく作用しているからです。当事者が不当な取り扱いを受けることのないようご理解をいただく必要があります。
採用選考時に配慮すべき事項
次のaやbのような適性と能力に関係がない事項を応募用紙等に記載させたり面接で尋ねて把握することや、cを実施することは、就職差別につながるおそれがあります。
<a.本人に責任のない事項の把握>
・本籍・出生地に関すること (注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します)
・家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)(注:家族の仕事の有無・職種・勤務先などや家族構成はこれに該当します)
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
・生活環境・家庭環境などに関すること
<b.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握>
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
<c.採用選考の方法>
・身元調査などの実施 (注:「現住所の略図」は生活環境などを把握したり身元調査につながる可能性があります)
・合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
以上のように、応募者の基本的人権を尊重して仕事の経験、能力を選考の判断とすることを求めて厚生労働省から企業に対して求人の選考時にルールを提示しています。このことは、応募する側として知っておくことが必要と思います。
ルールを逸脱した選考をする企業には入社後のトラブルも起こることも考えられので、よくよく考えて入社することをお勧めします。
ミドル・シニアコーナー
キャリアコンサルタント:本木 康友
最終更新日:2022年02月03日