求人を見ていて気になるのが年齢です。求人の年齢制限は原則禁止(例外もあり)されており、事業主側がハローワーク・民間の職業紹介事業者・求人情報提供者などを通じて募集・採用する場合、あるいはHP等で自ら募集・採用する場合も含め、幅広く適用されます。結果として、年齢不問の求人は多くなりますが、事業主側には希望年齢があるのも事実で、応募者側である私たちも年齢制限のルールを理解して、上手に活用したいものです。
◆求人での年齢制限は原則禁止です
求人の募集・採用にあたって年齢制限をすることは原則禁止されています。雇用対策法第10条では「事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」とされています。平成19年10月から事業主は労働者の募集及び採用について、年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならないこととされ、年齢制限の禁止が義務化されました。
◆年齢制限が許される例外事由は6つあります(雇用対策法施行規則第1条の3第1項)
≪1号 ≫
定年年齢を上限として、当該上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
事例:60際未満の方(定年が60歳)
≪2号≫
労働基準法等法令の規定により年齢制限が設けられている場合
事例:警備員として18歳以上の方を募集(警備業法により18歳未満の就業等が禁止)
≪3号のイ≫
長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
事例:30歳未満の方を募集(経験不問・新規学卒者と同等の処遇)
≪3号のロ≫
技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
事例:〇〇社の××事業所の電気通信技術者として30~39際の方を□人募集
≪3号のハ≫
芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合
事例:演劇の子役のため、△歳以下の方を募集
≪3号のニ≫
60歳以上の高年齢者、就職氷河期世代(35歳以上55際未満)又は特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用する場合
事例:60歳以上の方を募集
◆若年者限定の求人は、正社員経験の少ない若年者にメリットがあります
例外事由3号のイの「若年者」とは、おおむね40歳未満、特に35歳未満が対象とされていますが、「新卒者」もこれに当たると考えられています。キャリア形成の目的で年齢制限ありの募集をかけている事業所は、若年者を採用し、将来的に事業所の中核を担う人材や管理者・幹部となる人材に育てていきたいという考えがあります。「若者を育てる」という視点を持ち、教育・訓練などを工夫しています。即戦力にはなれない、経験がない、といったことで不安を覚えがちな新卒者や未経験の入職者にとって、「教えてくれる体制がある」ことは大きなメリットといえるでしょう。
◆応募は「実年齢」ではなく「意欲年齢」も大切です
我々にとって100点満点の求人はなかなか無いように、事業者側にとっても「年齢」「経験」「資格」「人柄」等全てに100%満足できる応募者はなかなか現れないものです。経験や人柄がマッチすれば、年齢は決定的な要因にならないということがあります。+/-5歳位なら大丈夫なことが多いものです。特にミドルシニア世代の方は、「経験がピッタリ重なる」「やりたいことと一致」といった「年齢不問」求人を見つけた時は、「やる気」をアピールし、応募してみましょう。
ミドル・シニアコーナーコンサルタント Y・T
最終更新日:2024年10月08日