「緊張」を味方につける面接準備
公務員試験のピークも終盤に差しかかかりました。毎年、筆記試験が終わる6月頃から面接対策を希望されて、多くの方が埼玉しごとセンターに来てくださいます。
「緊張してしまう」「うまく話せない」、さらには「頭が真っ白になって、何を言っているのか分からなくなる…」と苦手意識を口にされる方が多くおられます。
人が緊張する、「あがってしまう」のはどういう時でしょうか。それは、4点が指摘されています。
①多くの人に見られる
②明暗がはっきりする
③自分をよく見せたい
④人生に重要な意味がある
採用面接は4点をすべて満たします。
一生の仕事を左右する大事な大事な面接ですから、緊張するのは当たり前です。
相談に来られて「緊張して、うまく話せない」とおっしゃる方には、「緊張するのが、悪いことだと思っていませんか?」と私は問いかけます。緊張は敵ではありません。緊張するからこそ、気分が高揚して注意力や集中力が高まります。
お聞きになったことがあるかもしれませんが、アドレナリンやノルアドレナリンという神経伝達物質が分泌されて、頭も体も戦闘モード、つまり「やるぞ」モードに入ります。ヤーキーズ・ドットソンの法則という心理学の知見によると、緊張が高まれば高まるほど、パフォーマンスが上がることが知られています。
ただ緊張が高まりすぎると、パフォーマンスも低下に転じてしまいます。緊張とパフォーマンスの関係を示すグラフは真ん中を頂点にゆるやかに上がって、また下がる釣鐘形の曲線になります。
-どのようにして「ほどよい緊張」を保つのか。-
まず「準備に目を向ける」です。採用、不採用は皆さんが決めることはできません。できることは何か、を考えると、これまでの行動や実績に自信をもち、面接に向けて考えをまとめて、準備してきたことに自信をもち、面接員に分かりやすく伝えることです。
分かりやすい説明とは根拠、つまり具体的なエピソードとデータを示した説明を心がけることです。過度の緊張は不安が原因ですが、不安は必ず未来のことに対してです。「失敗しないだろうか」「不採用だったら、どうしょう」という未来に対する恐れが頭を占領すると、度をすぎた緊張につながります。
あなたに関することを、あなたに尋ねるのですから、答えられない質問なんて、ありません。「できるだけのことは用意してきた」と自らに言い聞かせて、未来の結果よりも、過去の「準備」に目を向けて、「いま、ここ」でできることに集中してください。
次は「深呼吸と水を飲む」です。緊張は交感神経系が優位になって高まるので、副交感神経系を優位にすることで落ち着くことができます。副交感神経系は自分の意思でコントロールできませんが、呼吸だけは例外です。自分でゆっくりと息を吸い、吐くことができます。もう一つ、消化器も副交感神経系ですので、水やお茶、スポーツ飲料を飲むと、落ち着けます。
最後に「感謝」です。ここまで育てていただいたご両親や祖父母、ご家族、お世話になった先生や教授、励ましてくれた友人や先輩の顔を浮かべてください。そうした方たちがあなたを応援しています。感謝の気分が満たされると、エンドルフィンという神経伝達物質が分泌されて、何か幸せな気分を感じることができます。
支えてくれた方たちの顔を思い浮かべながら、希望の仕事につながる扉だと思って、面接室のドアをノックしてください。この扉の向こうに、希望の仕事が待っていると思うと、不安よりも、何だかワクワクしてきませんか?
若者コーナー担当T.N
最終更新日:2024年07月19日