相談の中に、「前向きになりたい」、「前向きな気持ちを持ちたい」という言葉を聞くことが少なくありません。ところで「前向き」とはどういう意味なのでしょうか。「前向き」になりたいと考える理由と、そのヒントについてお伝えしたいと思います。
「前向き」の言葉の意味から考える
「前向きになりたい」という人に「前向き」とはどういう意味ですか?と尋ねると大体、次のような意味の言葉が返ってきます。
・積極的に活動している
・自分の思うとおりに動いている など
さて、何に向かって行動しているのでしょうか。当然ですが、就職そしてその先にある「目標」ですね。こちらが「前」の意味です。
「前」とは就職やその先にある「目標」を指しています。具体的には生活のため、自分のやりたいことがある、買いたいものがある、自立したいなど色々思いつくと思います。これらの「目標」に向けて行動していることならば、どんなに小さいことでも「前向き」な行動です。
その説明はわかった、でもうまくいかないんだ。と思う方、多いかもしれません。実は、そこに「前向き」になりたいと考える理由があります。
「今の自分が思うようにできていないから前向きではない」ではない
この「前向きになりたい」ですが、その続きは「今の自分が思うようにできていない」という否定的な話につながることが多いです。
「思うようにできていない」から「前向き」ではないと感じてしまうのですが、この言葉の関係に問題があります。「思うようにできていない」という否定的な評価と「前向き」というプラスに見える言葉に矛盾を感じてしまうのです。
「思うようにできていなくても前向きに行動をしている」ことはあり得るのです。
就活は「思うようにいかない」活動なのです。応募しても不採用になることはありますし、求人を見ていても自分からこの求人は自分には合わないと取捨選択をしています。しかも新型コロナウイルスの影響で最近は、求人数も減ってしまっています。そのなかで「思うようにいく」就活は非常に厳しいものになっています。ですから「思うようにいかなくても、自分の目標のために活動している」のであれば「前向き」という言葉をあててよいのです。
前向きになるために
言葉がややこしくなってきたので整理していきます。
①自分の「目標」を再確認する。
⇒「目標」が「前向き」の「前」にあたります。
②「思うようにいかなくても」、「前向き」に自分は活動していると考える
⇒「思うようにいかない」、悩みながら進むことが就活になります。
③小さい一歩でも行動している自分をねぎらう。
⇒活動、行動していることが「前向き」なのです。
③を最後に解説します。思うようにいかないと自分に対して頑張れと叱咤激励をします。ただ活動が長引くと、疲れてきてしまうので、叱咤激励の言葉は自己否定の言葉に変わってしまいます。するとネガティブスパイラルにはまりこんでしまいます。
Ex:もっと頑張れ ⇒ 努力が足りない(でももう頑張れない)など
そのため重要なのは、今の自分を「OK」として受け止めることです。だからねぎらってほしいのです。
このコラムを最後まで読んだあなた!就活に何か役に立つことはないかと思って読んでいると思います。つまりこの「読む」ということが「前向き」の行動そのものです。小さい一歩かもしれないけれど、行動している。前に向かっているよ。と自分のことをねぎらってください。
臨床心理士(公認心理師): 徳村 勇起
最終更新日:2022年01月07日