自己アピールは「自慢」ではありません | 埼玉しごとセンター

自己アピールは「自慢」ではありません

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 埼玉しごとセンターでは利用者さんから応募書類の添削を頼まれることがよくあります。難しいなぁ、と思うのが、「自己アピール」と「自慢」の違いです。自分で自分を褒めることには大抵の方は抵抗を感じます。日本人は奥ゆかしさを美徳としますから、欧米の方のように堂々とアピールするのが苦手な方が多いようです。だからといって、「別段大したこともできませんので…」では応募書類になりません。
 そこは割り切って「応募書類は結論ファーストが原則」とばかりに「私の強みは気配りができることです」「私は問題解決能力があります」と書き始める方がいらっしゃいます。そのような書き方を推奨される方もいらっしゃいます。考えてもみてください、初対面で、「私は気配りができます」「私に任せれば何でも解決してみせます」と言ってのける方と、仲良くしたいと思いますか? そもそも「強み」とは自分で主張することではありません。周囲が認め、評価してくれることです。設問に「あなたの強みは?」とあっても、回答欄に「強み」と繰り返す必要はありません。
 「私は人の話を遮らずに聞くことを大切にしています。相手の気持ちを察して、私にできることはないかを考えるようにしています」と書けばどうでしょうか? 一言で言い切る力強さはありませんが、「アピール」はできているのではないでしょうか。
 「できます」「~力があります」は自慢がましく、読む側は「大きく出たねぇ」と、俗に言う「引いてしまい」ます。私がお勧めしているのは、「大切にしている」「心がけている」「培ってきた」「養ってきた」「学んできた」といった表現です。控えめであり、姿勢や態度を具体的に書くことになりますから、読み手に伝わりやすい利点があります。「コミュニケーション能力」と書かずに、「話を遮らない」「考えを押し付けない」「相づちを打つ」といった姿勢を書くことで、読み手に分かりやすい表現になります。「課題解決力」なんて一国の総理にもないような能力を書くよりも、「状況を見て、何が起きているのかを考え、自分に何ができるかを考えて行動することを心がけています」と書いて、具体例を示した方がはるかに分かりやすい「アピール」になります。「継続力、持続力」の代わりに、「同じことを続けることが苦になりません」というやや技巧的な表現もあります。

 こうした表現に加えて、「自慢臭さ」を消す工夫が三つあります。
一つが「データ」。
「私は足が速い」と言えば自慢、「私は50メートルを6秒0で走る」と言えば事実です。言葉で「説明」せずに、データで「示す」。

二つ目は「他者評価」です。
「私は人の気持ちを汲んで行動できます」と書けば自慢ですが、「アルバイト先の店長から、お客様への配慮が細かい、と評価されました。お客様が何を求めているかを常に考え、タイミングをみてお声をかけている点が認められたのだと思います」のように、行動や態度が周囲からどう見られているかを書くと、客観的な評価ですから、「自慢」がましい印象はありません。

三つ目は「私」ではなく、「役割」を説明すること。
バレーボール部で二年生から正セッターに定着していた高校生は「セッターは常に相手選手の動きや表情を見ながら、自チームのアタッカーの調子や気持ちを考え、試合の展開や状況に応じて、次の攻撃を瞬時に判断します」といった役割を書いて、「バレーボールを通じて、冷静な判断力と観察力を鍛え、信頼関係の大切さを学びました」と続けました。

「できます」型自慢と、「大切にしています」型アピールの違いがお分かりいただけたでしょうか。

                                                
  若者コーナーコンサルタント T.N

最終更新日:2024年11月19日