この4月から施設名称が「埼玉しごとセンター」に変わり、埼玉県運営の就業支援施設として9年目を迎える運びとなりました。
今後もご利用者の方の悩み・ご希望に則したご支援を心掛けたいと考えております。
今回は、相談ランキングトップクラスの「応募書類作成」を取り上げてみました。ご相談者の方の状況確認等で良く聞く言葉があります。「自分がやっていた仕事は普通の仕事なので、強みやスキルといった、取り立ててアピールするほどのことはない」とか、「職務経歴書って、仕事の内容以外に何を書けば良いのか分らない」といった内容です。
そのような方の特徴として、前者のケースは自己評価の低い方、控えめな性格が挙げられます。また職務経歴の棚卸しなど自己分析をあまりしたことが無い等の特長が見られます。後者については、就職活動経験の少なさが考えられます。
どちらも自己評価において、客観的かつ具体的に自分のやってきた事を伝えられません。
次に自己主張が強すぎる反対のケースを紹介します。ページ数4、5枚の職務経歴書を、転職回数分の会社概要や経験役職、職務などをこんこんと羅列し、専門用語や略語で埋め尽くしたり、フォント9以下の小さな文字でびっしりと、スペースも隙間もレイアウトで組んだりしている例です。
どちらも少し極端ではありますが、悪い例です。採用側の視点を見誤り、自己本位な書き方をしているからです。では採用求人側の視点とはどのようなものか、に整理していきましょう。応募書類の作成における重要ポイントとしてまとめます。
私が提案する重要ポイントは3つあります。
その1:書類選考は誰が見るか分かりません。誰が見ても分かるような「理解のしやすい見た目」と「内容の簡潔さ」が求められます。募集している職種を含む組織に属する人なら、専門用語や略語などにも理解が及ぶでしょう。でも、採用活動は一般的に人事部門に属する人や総務部門が取りしきる場合が多いのです。その点の配慮して書類を作成する必要があります。
その2:求人側が募集している職種と、求職者の方の職務経歴、仕事のスキルや経験がマッチしているかです。採用企業は、組織内部署での人員不足や新事業立ち上げ等により増員が必要となり、求人に至っている訳です。その職務を行うに足るスキルレベルや役職ごとに求められる役割があり、それに見合った候補の中から採用を検討することになります。このケースは「即戦力人材の募集」、「長期育成社員募集」等の求人に見受けられます。
その3:職務経歴書は、商品カタログで言うところの機能仕様一覧です。自分にできることを紹介するものです。次の選考ステップである面接試験を考慮し、自分のアピールポイントを具体的に説明する必要があります。就業していた会社での職務内容を言語化し、関わった仕事の中で身につけたスキルのレベル(初心者、中堅、マネジメント……)や具体的な成果、実績をエピソードを通して語れるように、棚卸ししましょう。
私が支援業務の中で心掛けている点は、職務経歴書作成のために、キャリアの棚卸し作業に時間を掛けて丁寧に関わることです。就職活動の作業の中でも大事な工程である応募書類作成を、面接のためのプロセスとして考える視点を持っていただきたいです。お一人で悩まず、専門家の支援を受けることも検討してみて下さい。就職活動を有意義なものにする方法の一つとしてお勧めします。
ミドル・シニアコーナー キャリアコンサルタント
綾部 正美
最終更新日:2021年04月27日