社会保険制度の改正に伴う影響(ミドル・シニア編) | 埼玉しごとセンター

社会保険制度の改正に伴う影響(ミドル・シニア編)

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今回は社会保険制度について制度改正に伴う影響がどんなものがあるのか考えてみました。まず、社会保険の説明から入りたいと思います。

社会保険とは、病気やケガ、出産、死亡、業務災害、失業、老後の生活保障などのリスクに備える公的な保険制度のことです。公的保険制度も保険の仕組みからできていて、原則として保険料を支払い、要件を満たすことで、保険給付を受けることができる仕組みとなっています。

社会保険の制度としては広義の社会保険と狭義の社会保険があります。
広義の社会保険としては以下の4種類があります。
① 健康保険
② 厚生年金保険
③ 雇用保険
④ 労災保険

このうち、雇用保険と労災保険を「労働保険」、狭義の意味で健康保険と厚生年金保険を「社会保険」と区別して呼ぶことが一般的となっています。

健康保険は、民間の「健保組合」か、国の「協会けんぽ」に加入できます。
厚生年金保険は、正社員か正社員の3/4の労働時間が従来の加入条件でした。

それが2016年、2022年の2回に渡り、非正規雇用の社員も企業規模(従業員数)での段階移行制度が施行されました。今後2024年にも改正が予定されています。

ⅰ   2016年10月改正の内容
従業員数が501人以上の規模の企業で、週20時間以上働く方などにも対象拡大

ⅱ  2022年10月改正の内容
従業員数が101人以上の規模の企業で、週20時間以上働く方などにも対象拡大

ⅲ 2024年10月改正(予定)の内容
従業員数が51人以上の規模の企業で、週20時間以上働く方などにも対象拡大

◆2022年改正に伴う社会保険の130万円の壁と106万円の壁
社会保険の130万円の壁は「社会保険の被扶養者となる要件」が判断基準のポイントです。このほかにも社会保険に関するものとして、パート等非正規雇用で働いている会社が社会保険の適用拡大の対象になるかどうかで、あらたに社会保険の106万円の壁が加わりました。社会保険の106万円の壁は、「社会保険の適用拡大により被保険者となる要件」が判断基準のポイントです。この2つの違いについて詳しく見ていきましょう。

(1)130万の壁を超えると被扶養者から外れて、社会保険の被保険者として保険料支払いが発生するため給与の手取りが減少する。健康保険の制度では、被保険者の扶養家族も次の3つのすべての要件に該当すれば、被扶養者として健康保険の給付を受けることが可能です。

【社会保険の被扶養者となる要件】
① 主に被保険者の収入により、主に生計維持されている(75歳未満の家族が対象)

② 対象となる家族に該当する
・被保険者と同居・別居どちらでも可能な方
 配偶者、子、孫、兄弟姉妹、父母・祖父母など(直系尊属)

・被保険者と同居が必要な方
 配偶者、子、孫、兄弟姉妹、父母・祖父母など(直系尊属)を除く3親等内の親族
 配偶者(内縁関係も含む)の父母や子

③ 年間収入130万円未満(60歳以上や障害者の場合は180万円未満)であり、次の要件を満たす場合
・同居の場合(収入が被保険者の2分の1未満)
・別居の場合(収入が被保険者から仕送りされる金額未満)

また、65歳未満で厚生年金保険に加入している方(第2号被保険者)の被扶養配偶者が20歳以上60歳未満の場合には、国民年金の第3号被保険者になることができます。

配偶者がパートで勤務していた場合でも、被扶養者の要件に該当すれば、健康保険や国民年金(第3号被保険者)の保険料の支払いは不要です。しかし、扶養家族に130万円以上の収入があると被扶養者の対象から外れ、国民健康保険や国民年金(第1号被保険者)に加入しなければなりません。

また、扶養家族が自身の勤務先で社会保険に加入すれば、給与から社会保険料が天引きされることになります。被扶養者からはずれるほど働くと、国民健康保険や国民年金、または社会保険の保険料が発生します。その結果、保険料の支払いにより、130万円未満で働いていたときよりも手取り額が減少することがあり、これがいわゆる130万円の壁です。

(2)106万の壁を超えると社会保険の適用拡大により、給与の手取りが減少する。2022年10月以降は社会保険の適用拡大の範囲が広がり、パートやアルバイトのような労働時間の短い従業員であっても、次の要件に該当する場合には社会保険の被保険者となることが義務付けられました。

【社会保険の適用拡大により被保険者となる要件】
① 1週間の所定労働時間が20時間以上
② 雇用期間が継続して2ヵ月を超えて見込まれる
③ 賃金の月額が8.8万円以上
④ 学生ではない(夜間の学生などは対象)
⑤ 被保険者の総数が常時101人以上の企業規模の特定適用事業所に勤務

被保険者数が101人以上の規模の企業であれば、中小企業で働く場合でも社会保険の適用拡大の対象です。1週間に20時間以上働き、毎月の給与が8.8万円以上(8.8万円×12ヵ月=105.6万円)になると、企業は健康保険と厚生年金保険の被保険者としなければなりません。社会保険の被保険者となれば、労使ともに健康保険と厚生年金保険の保険料負担が発生し、パート従業員も給与から保険料が天引きされます。その結果、社会保険料の控除により、給与が106万円未満の従業員よりも手取りが減少することがあり、これがいわゆる106万円の壁です

以上、社会保険制度改正(特に適用の拡大)に関する留意点について説明してきました。
再就職活動においての参考にしてもらえたらと思います。

ミドルシニアコーナーキャリアコンサルタント A

最終更新日:2023年11月17日