人生100年時代。ライフステージに合わせ、仕事や働き方を考えることが増えそうです。
「副業を持ちたい」「会社に縛られず働きたい」「セミリタイアしたい」など、人生のどの時点でも選択肢はあります。デジタル技術の進歩も強い味方です。
今日は、会社に属さないフリーランスという働き方について、考えてみましょう。
はじめに
企業ではフリーランスの活用が急速に広がっています。インターネットのサイトを利用して働くクラウドワーカー、スマートフォンのアプリを介してデリバリーやタクシー運転を行うギグワーカーなどはデジタル時代の新しいフリーランスと言えるでしょう。話題の料理配達員もフリーランスです。
発注側は必要な時だけ、必要な人材に仕事を発注します。社員ではないので福利厚生や教育訓練などのコストがかからないのが、発注側の利点です。
高齢化社会の急速な進展と労働人口減少に対応するため、政府もフリーランスの「適正な拡大」を目指しています。例えば働き方改革を実現するための、副業・兼業の普及促進。そして今年4月に施行された「改正高年齢者雇用安定法」では、高齢社員が企業と業務委託契約(雇用されない働き方)を締結し70歳まで継続就労する制度も導入されました。
フリーランスは労働者か
日本の労働基準法は、使用者の指揮命令下で働き賃金を支払われている「雇用労働者」を主な対象として設計されており、フリーランスは対象外です。雇用保険や労災保険なども原則適用されません。労働時間規制(残業の制限)や最低賃金の対象からも外れます。自分の身は自分で守らなければならないのです。
フリーランスには、時間や場所に縛られずに自由に働ける、定年がないといった魅力があります。しかし仕事が原因で怪我や病気をしても、公的な補償は何もないので、仕事の中断に追い込まれる場合もあります。最近では料理配達人の交通事故が多発しています。新たなビジネスが健全に成長するためにも、料理配達員が安心して働くことができる環境を整備する必要があります。
厚労省では、料理配達員の他に、フリーで働くITエンジニアやなどにも労災保険の適用を認める方向で審議が進んでいます。
フリーランスで働く場合の注意点
「企業説明会に参加したところ、『この仕事は正社員でも契約社員でもアルバイトでもありません』と言われて混乱しています」というご相談を受けたことがあります。詳しく伺ってみると、「個人事業主」として企業と業務委託契約を交わすことが解りました。事前にファクシミリなどを個人で購入する必要もあります。この方は仕事内容に大変興味をお持ちでしたが、雇用ではないという点に不安を抱き、応募は辞退されました。
雇われて働くのとフリーランスで働くのでは、一見仕事内容に違いがないように見えても、自分が考えている内容や条件とは大きく異なる場合があります。ITやデザインなど得意分野を活かして働く場合にも、必要であれば発注側と交渉し、納得してからスタートしましょう。そして一方的に条件変更されることのないよう、発注書(仕事内容、代金、支払期日・方法等の条件を明示した書面)を交付してもらうことも大切です。
以上
若者コーナー
キャリアコンサルタントT
最終更新日:2021年06月14日